グレンドン石（玄能石）

ロシア産のグレンドン石（玄能石）です。サイズ：20m×20mm（左）
グレンドン石は方解石（カルサイト）の一種なのですが、イガグリの様な独特な形状が最大の特徴でしょう。実は鉱山で採掘されるのではなく、白海沿岸ロシア北西部の砂浜に漂着します。と言っても、漂着するのは白っぽい丸石で、その中に写真の様なイガイガが入っているそうです。ちょっと変わり者ですね。
　このグレンドン石は、不思議な鉱物です。方解石（六方晶系）なのですが、形状が単斜晶系の特徴を持っているのです。そこで、元は別の鉱物であったのが、何らかの理由で方解石に置き換わったのではないかと考えられてきました。オパールの時に説明したパイナップルオパールと同じで、このような結晶を仮晶（かしょう）と呼びます。
　諸説あったようですが、今ではイカ石という鉱物であったのが、その後方解石に変化したと考える説が有力です。イカ石とは、グリーンランド南西岸のイカ・フィヨルドで初めて確認さた鉱物です。低温の海底に湧出する炭酸泉で形成され、温度が上がると急速に水分を失い、多孔質の方解石と水に分解してしまいます。
　近年、ドイツの調査船が海底から、６センチを超える透明なイカ石を発見、その後ガラスのような透明感が失われ、方解石と水とに分解してしまったそうです。この形状がグレンナイトと似ていたことから、グレンナイトは　イカ石を起源とする方解石の仮晶だという説が有力視されるようになったそうです。

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