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鉱物の色の原因(光と色の話 第8回) [光と色の話]

この『光と色の話』を始める、動機になったテーマにようやく辿り着きました。
鉱物の色の原因です。第6回で孔雀石を例に、物質が特定の波長を吸収して、反射した光に含まれる波長が偏る事で色が見えるという話とその具体例をご説明しました。今回は、更に一歩踏み込んでお話したいと思います。

(白や黒、透明な石ではなく)色のついた石の場合、発色原因は基本的に遷移金属のイオンに由来する場合が多いです。例えば、オレンジカルサイトの色が鉄由来だとか、ブルーカルサイトの色がストロンチウム由来という感じです。鉱物の場合は、他の大きな要因にカラーセンターという概念がありますが、ちょっと説明が面倒なので、今回は遷移金属イオンに由来する色についてお話します。

遷移金属が何かは、教科書を開いて頂ければ説明されていると思います。そもそも、何故『遷移』金属と呼ぶのでしょう?そして色が付くメカニズムって何でしょう?順番にご説明していきますね(分かり易く省略している点は、ご容赦下さい)。

小難しい話は置いておいて簡単に説明すると、遷移金属は、d軌道及びf軌道に電子を持つ元素で、これらの電子は極めて移動しやすく、簡単に励起されて遷移するんです。だから遷移金属って言うんですね。えっ?遷移がいまいち分からない?そんな方はこんな風に考えてください。遷移金属のイオンは、電子が安定に存在できる状態が幾つかあります。非常に安定な状態から、極めて不安定ながら一時的に取りうる状態まで様々です。安定な状態であっても特定の波長の光をあてると、そのエネルギーを吸収して、一段エネルギーが高い状態に電子が移動します。これが遷移です。そして、こんな事が起こる物質を遷移金属って呼ぶという訳です。

そして、今お話したように特定の波長の光を吸収して、励起され電子遷移を起こすと言う事は、光源の波長から、この励起に使われた波長の光が失われるので、反射光に含まれる光のスペクトルが変化します。そのために色が付いて見えるんですね。また、同じイオンであっても周りの環境によって、この吸収する波長が微妙に変化します。そこで、同じ鉄由来の色であっても青だったり赤だったり、黄色だったりするという訳です。
タグ:光と色の話
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コメント 2

小夜

色が違うというと、例えば鉄などの元素に由来していても
石の種類などによって色が違う場合があるので
毎回”何でなんだろう?”と疑問に思っていました。
今日のお話で納得しました。
by 小夜 (2008-09-16 08:56) 

optimist

小夜 さん、こんばんは。
ものすごく単純にお話してしまいましたが、喜んで頂ければ嬉しいです。
深く突っ込むと、何処まででも行けてしまう世界ですけど・・・^^;
by optimist (2008-09-16 21:58) 

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