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人の感じる色と他の生き物の感じている色 (光と色の話 第13回) [光と色の話]

完全に余談ですが、今回は他の生き物の感じている色についてご紹介します。と言うのも、これまでの色の話は人間についての話です。他の生き物達は人とは違った色覚を持っているんです。

そもそも錐体細胞が特定の波長の光で刺激を受けるのは、それぞれに対応した視物質と呼ばれる桿体物質(ロドプシン)と錐体物質を視細胞中に持っているからで、これらの視物質が特定波長の光を吸収して分解、最終的に発生する電気信号が脳に伝達されるからです。と言う事は、視物質の種類が変わると、吸収する波長が変わってくるんですね。この視物質のレパートリーによって色覚が変わるのですが、どう感じるのかは違う視物質を持っている限り、実際に窺い知る事は出来ません。
 
最近の研究から、訳5億年前に生きていた原始脊椎動物は4色性色覚を持っていたと考えられています。つまり4種類の錐体細胞を持っていた訳です。そのため、現在でも魚類や鳥類等は、4色性色覚のまま現在に至っています。ところが哺乳類の多くは視物質の一部を失っています。これは、そもそも昼行性であった原始脊椎動物が獲得した色覚を夜行性になった時に失ったからだという説があるんです。

真っ暗な中で行動するのに色覚は必要ないですもんね。主に嗅覚を発達させた結果、色覚は退化した一時は2色性色覚になったと考えられています。そして、およそ数千万年前という比較的最近になって、人類を含む霊長類は別の視物質を獲得し、再び3色性色覚となったそうです。 また、犬などは結局現在では1色性色覚で、モノクロで捉えていると考えられています。それぞれの動物達がどんな風に見えているのか想像するのもまた一興です。
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アヨアン・イゴカー

>魚類や鳥類等は、4色性色覚のまま現在に至って
これはどういうことでしょうか?4色性色覚と言うのは。そも、光の三原色、色の三原色がりますが、魚類や鳥類は4原色なのでしょうか?
鳥類と爬虫類は近いと思いますが、爬虫類も4色性色覚なのでしょうか?
とても、興味深い話題です。
by アヨアン・イゴカー (2008-09-28 13:45) 

optimist

アヨアン・イゴカー さん、こんばんは。
爬虫類もご指摘の通り、基本色覚は4原色のはずです。夜行性だったり洞窟内で殆ど光の無いところに住んでいるような種ではここから失った視物質があると思いますが、あくまで個々の種によって違っているだけで、基本は4原色のようですね。
実際彼らにはどんあ風に見えているのか、考えると結構楽しいですよね。
by optimist (2008-09-28 22:23) 

t-usuda

「色」という何かは脳が見ているものなので、ややこしく、またとても面白い話題だと思います。鳥類の場合、紫外線領域を知覚できる錐体があり、…おそらくそれが
>魚類や鳥類等は、4色性色覚のまま現在に至って
の正体なのではないか、と。
ちなみに、ヘビ類の一部では(目とは別に)赤外線領域を知覚できるピット器官があり、一部のグループではこれがピンホールカメラと同様の構造になったうえに視覚野につながっていることが知られています。ようするに、ある種のヘビの脳の中では、“普通の”視覚だけでなく温度分布までもが統合された映像として認識されているということのようです。
by t-usuda (2008-09-30 12:28) 

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