カザフスタン産紫水晶(アメシスト) [鉱物図鑑:石英・水晶(珪酸塩鉱物)]
Balkhash Lake, near Preozersk,Karaganda Oblast ,Kazakhstan
カザフスタン産のDT紫水晶(アメシスト)です。サイズ:46mm×26mm(結晶サイズ:約10mm)
以前ご紹介した事 がありますが、カザフスタン産の紫水晶(アメシスト)は、写真の様に短柱状の結晶が母岩から生えている面白い形をしています。この薄い板状の母岩には、二つの紫水晶の兄弟が乗っています。
何故この紫水晶はこんな形なんでしょう?生成条件に因る物だと容易に想像は付きますが、さてどんな条件で成長したのか・・・。『不思議だな~』『面白いな~』で終わらせても良いのですが、化学を学んだ者としては多少なりとも理由を考えて見たりするのでした。
水晶には高温型水晶と低温型水晶があるのをご存知でしょうか?ここで言う高温とは摂氏870度から573度の間を指します。この温度で結晶した水晶は 高温型水晶(βクォーツ)、それ以下で結晶したものは低温型水晶(αクォーツ)と呼ばれ、それぞれ結晶構造が異なります。低温型水晶は、良く見かける六角柱状の結晶で、高温型水晶はソロバン型と呼ばれる柱面が無い結晶を作ります。
さて、573度以下の低温だと六角柱状になる水晶ですが、その中でも高い温度だと柱は長くなり、常温に近づくほど短い柱となるそうです。面白くないですか?573度までなら温度が上がる程、柱が長いのにそれを超えると柱が無くなってソロバン型になるんです。他にも柱の長さに関しては、鉄などの不純物が多い場合も柱は短くなる傾向があります。水晶と紫水晶のクラスターを思い出して頂ければイメージ出来ると思いますが、紫水晶の方が柱が短い物が多いですよね。
さて、翻って写真のカザフスタン産です。紫水晶なので、短柱状になりやすいとしても、ここまで短いのはやはりより低温で成長したからじゃないかな~。しかし、まだ問題が残っています。クラスターにならず、単結晶がぽつぽつと乗っているのは何故なのか?私は、この母岩と関係していると思うのですが、これについては良く分かりません。この平ペったい母岩ですが、脆そうですに見えますが、想像していたより固いんです。叩くと『キンキン』と金属音がします。これが関係してるんじゃないかな~なんて想像してたりするのですが、詳しい方に是非伺いたいものです。
アメジストクラスターカザフスタン産 AMkraK10【10P09Jan16】 |
>573度までなら温度が上がる程、柱が長いのにそれを超えると柱が無くなってソロバン型になるんです.
興味深い性質ですね。考えてみると、身の周りにあるものは、大体このような性質を持っているようです。水なども同様の変化を辿ると考えてもよいのではないでしょうか。金属は特にこの性質が共通していると思います。
細長い水晶と、ソロバン型ものとは組成や密度や構造が異なるのでしょうね。そして性質、比重、強度なども。
by アヨアン・イゴカー (2008-07-18 00:52)
うぅ…こういう母岩つきのアメジスト欲すぃ!
最近は作品作りの為の本当にちっこいポイントばっかり
探してるので、自分の為の標本が買えないデス;
明日は新宿の堀さんのフランス帰りの鉱物販売行ってきます♪
by mistletoe (2008-07-18 14:15)
アヨアン・イゴカーさん、こんばんは。
ご指摘の通り、鉱物には同質異像というのがあって、成分が一緒でも結晶系が違うので、性質が違って来ます。水晶も、高温と低温水晶の他クリストバライト、トリジマイト、コーサイトやステイショバイト等と様々な同質異像を持ってます。温度や圧力の違いで、様々な性質を持つのって考えてみると不思議です・・・。
mistletoeさん、こんばんは。
ユーロミネラルショーで出ていたイタリア産の黄色い毬藻みたいなカルサイトが欲しいんですよね~。行けたら是非買って来たい処ですが、やっぱり無理みたいです。HPを見るとピンクフローライトが気になるけど、きっと手が出ない価格だろうしな^^;
存分に楽しんできてください、(^_^)/~
by optimist (2008-07-18 23:03)