SSブログ

蛍の光は、文字通り蛍光の一種 (光と色の話 第14回) [光と色の話]

初夏に舞うホタルの黄緑色の光をご覧になった事はあるでしょうか?暗闇に舞うその姿は幻想的で美しいですよね。最近では人工飼育や水質改善によって再びこの夏の風物詩を見る機会が増えてきたのは、喜ばしい事です。さて、この蛍の光は、化学ルミネッセンス(ケミルミネッセンス:Chemiluminescence)の一種で、文字通りの蛍光なんですよ。
(2011.8.11加筆:これは、蛍光を最も広義に捉えた「蛍光=ルミネッセンス(luminescence)による光全般を指す」という解釈をした場合です。より狭義の「蛍光=可視光より短波長の電磁波によって励起されるルミネッセンス」という解釈に従った場合は、蛍の光は蛍光とは異なる現象です。)

簡単にご紹介すると、ホタルの発光は、ルシフェラーゼと呼ばれる触媒酵素によって発光基質のルシフェリンが酸化されて起こります。
もう少し詳しくお話すると生化学の話になってしまうのですが、まず発光基質であるルシフェリンのカルボキシル基がATP(アデノシン三リン酸の)α位の燐酸基をアタックして、ルシフェリルATPという中間体とピロリン酸を作ります。そして、酸素がこの中間体(ルシフェリルATP)と反応して、AMP,二酸化炭素と共に励起状態の酸化ルシフェリンを生成します。この酸化ルシフェリンが安定な基底状態になる際に差分のエネルギーとして565nmの光を放出するという訳です。

 生物によるルミネッセンスは、バイオルミネッセンス(bioluminescence)と呼ばれる事がありますが、ここで紹介したような化学反応によるものが多いようです。蛍の他にも蛍イカ,海ホタル,蛍エビ,夜光虫や発光バクテリア,植物ならヒカリ藻,ヒカリゴケ,ツキヨダケ等挙げればキリがありません。それにしても、発光する生物達が、どうやってこのメカニズムを手に入れたのか。進化とう言葉で片付けると簡単ですが、考えると不思議ですよね。
nice!(6)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 6

コメント 4

アヨアン・イゴカー

蛍は体内でルシフェリンを酸化させるのですか。体液の分泌によって、酸化させるのですね。
この分泌液を蛍光石などに注ぎかけたら、やはり明るくなるのでしょうか?
by アヨアン・イゴカー (2008-09-28 13:55) 

optimist

アヨアン・イゴカー さん、こんばんは。
ご質問の回答ですが、蛍光性の鉱物は光ルミネッセンスによる発光なので、酸化還元による発光はしません。よってルシフェラーゼを蛍石にかけても何も起こらないはずです。
by optimist (2008-09-28 22:16) 

はっちゃけ

蛍光は光照射によって電子が励起し, それが基底状態に戻る際に出る電磁波のことです。
よって、蛍の光は光照射がいらない生物発光で、蛍光とは異なります。
by はっちゃけ (2011-08-09 10:23) 

optimist

はっちゃけ さん、コメントありがとうございます。
ご指摘の『蛍光は光照射によって電子が励起し, それが基底状態に戻る際に出る電磁波のこと』についてですが、結論から申せば、どちらも間違いではないように思います。

蛍光を最も広く定義した場合、蛍光=ルミネッセンス(uminescence)による光全般を指します。そして、ルミネッセンスは、励起するものの種類(熱,光,酸化還元反応で生じるエネルギー,電子,摩擦など)で区分されます。『ルミネッセンスの話 (光と色の話 第10回)』で私が書いた通りです。
対して、狭義では、はっちゃけ さんが指摘されるとおり『光照射によって電子が励起されるルミネッセンス』或いは、『可視光より短波長の電磁波によって励起されるルミネッセンス』があります。そしてこちらの方が一般的なのは認めます。
また、更に狭義では『励起のための電磁波を止めるとすぐに発光が消失する、発光寿命が短いもの』とし、燐光と区別されます(『りん光って何? (光と色の話 第15回)』で私も書いています。そして、ここで「正確に言えば蛍光=ルミネッセンスでは無い」事も記述させて頂いております。

つまり蛍の光が蛍光かどうかは、蛍光の定義をどこにとるかの問題であり、定義を記述していれば『蛍の光=蛍光』も『蛍の光≠蛍光』も正解と言えると考えています。
つまり第10回の流れから記述したここで、蛍の光が最広義で捉えた蛍光であるのも、14回目で正確に言えば蛍光=ルミネッセンスでは無いと書いているのも、そして、はっちゃけ さんご自身が、「蛍光は光照射によって電子が励起し, それが基底状態に戻る際に出る電磁波のことだから蛍の光は蛍光ではない」と主張されているのも全て誤りではないいという事です。

古くから使われてきた言葉の場合、科学が進歩した結果、複数の定義が共存する典型的な例だと思います。
確かにこの回だけ見ると誤解を生みそうなので、一部加筆させて頂きました。

ご意見、ありがとうございます。
また、何かお気づきの点がございましたら、ご指摘頂ければ幸いです。
by optimist (2011-08-11 20:42) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

この広告は180日新規投稿のないブログに表示されます