SSブログ

ネソ珪酸塩鉱物 [鉱物図鑑:ネソ珪酸塩]

昨日、お話したように今日から各種珪酸塩鉱物についてご紹介します。

さて、最初に謝っておかなければいけないのが、図の珪素イオンと酸素イオンの大きさです。実際のイオン半径は珪素イオンは0.4Å、酸素イオンは1.3Åなので、酸素イオンを大きく書かなくてはおかしいのですが、その場合、図の下に書いたように、酸素イオンの影に隠れて珪酸イオンが見え難いのです。そこで、図中では酸素イオンをかなり小さく書きました。これからの説明に使う図は、全て同様です。ご承知おき下さい。

ネソ珪酸塩2.jpg
珪酸イオンのSiO4を図に示しました。、酸素イオンと珪素イオンの距離は1.6Å,O-Si-Oの角度が109°28′という四面体構造を取ります。全ての珪酸塩鉱物は、この四面体を骨組みとして様々な結晶構造を持ちますが、1.6ÅというSi-Oの距離には少し秘密があります。単純に酸素と珪素のイオン半径を加えると1.7Åなのですが、これより少しだけ短いんです。これは、珪素と酸素の結合がイオン結合だけではなく、共有結合でもある事に因っています。このために、珪素イオンは酸素の檻にがっちりと閉じ込められてます。これが、この四面体構造が非常に強力な構造である理由でもあるんですよ。

さて、ネソ珪酸塩鉱物ですが、四面体が結合せず単独で他の金属イオン等とイオン結合を作ります。『ネソ』とは、ギリシャ語の『島』を意味しますが、島のように孤立した四面体からなるという事なのでしょうか?このような珪酸塩鉱物は超高圧下で形成される物が多く、最密充填型の結晶構造を持つ場合が多いようです。主な例を以下に載せます。

橄欖石(Olivine)
1754191

石榴石(Garnet )
1491468

風信子石/ジルコン(Zircon )
1990000

黄玉/トパーズ(Topaz)
1851185

十字石(Staurolite)
1916699

キノ石(Kinoite)
1505382

藍晶石(Kyanite)
1574623
他に、珪線石(Sillimanite),紅柱石(Andalusite),くさび石(Sphene),ユークレース(Euclase)等がこの仲間です。

ところで、ジルコンは特殊な例で、一部の珪酸イオンが亜鉛イオン(Zr)に置換されて四面体が大きく歪んだZrO4になっています。このZrO4とSiO4の四面体が頂点の酸素イオンを共有しているんです。そういう意味では厳密にはネソ珪酸ではないのかもしれません・・・。

このように、非常に強固なSiO4四面体ですが、珪酸イオンが他のイオンに置換される場合があります。最も多いのがアルミニウムイオン(半径0.5Å)です。これはイオン半径が珪酸イオンの0.4Åに近いためです。同じ理由でベリリウムイオン(半径0.4Å)が置換される場合もあります。又、ジルコンのように珪酸イオンと同じ4価のチタンイオンやジルコニウムイオン(それぞれ半径0.7と0.8Å)も置換される事がありますが、この場合は四面体はかなり歪んじゃうみたいです。
タグ:分類
nice!(6)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 6

コメント 4

アヨアン・イゴカー

鉱石の標本とご説明とを比較して見ていて、果たして共通項を色や形で見出せるのだろうか・・・などと思っています。肉眼では難しいのかも知れませんが。
by アヨアン・イゴカー (2008-08-10 08:11) 

TM

私には難しいのですが、何か学校かどこかでご勉強されたんですか? 化学記号などは「あ、化学記号だな」ぐらいしかわかりません。もっと勉強せねばと思わさせられました。
by TM (2008-08-10 09:27) 

optimist

アヨアン・イゴカー さん、こんにちは。
ネソ珪酸塩だと特に見た目では判断しにくいかもしれませんね。
イノ珪酸塩鉱物だと繊維状の結晶を作る物が多いとか、フィロ珪酸鉱物だと雲母のように薄く剥がせるとか見た目で分かる共通点がありますよ。
by optimist (2008-08-10 09:39) 

optimist

TM さん、こんにちは。
出来るだけ簡単に、とは思って書いていますが、どうしても分かり難い話になって申し訳ないです(その上、まだ暫く続きます^^;)。
この辺りの話は、趣味として読んだ鉱物の本等を参考にしています。TMさんも参考文献にされている楽しい鉱物図鑑も持ってますよ。他にも、昨年発行された『鉱物と宝石の魅力』という本も非常に参考になりますね。

学校では、無機化学を専攻して修士号を頂きました。でも、仕事や趣味で知った知識の方が面白いですよw
学校で学んだ事は、それらを理解するための土台作りでしょうね。しかし、石の世界は、まだまだ知らない事ばかりで面白く、これからも石集めは止められそうも無いです。
それに持ってる石の数・質共にTMさんの足元にも及びませんし^^;
まだまだこれからw
by optimist (2008-08-10 09:58) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

珪酸塩鉱物の分類ソロ珪酸塩鉱物 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。