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モルダバイトの起源 [雑記(鉱物関連)]

モルダバイトってご存知でしょうか?テクタイトの一種で、モルダウ川流域で発見された事に因んでその名が着いた石です。一般には、旧チェコスロバキアから発見される緑色を帯びたテクタイトをモルダバイトと呼んでいます。

何故、こんな話を書いているかと言うと、ブログのメンテをしていたところ、不思議な事に気が付いたからです。特定の記事だけアクセスが一桁大きい・・・。賢明な読者のかたにはお分かりになられたかと思いますが、2月1日に放送された『世界の果てまでイッテQ!』という番組内で、モルダバイトが紹介されたんです。ベッキーがモルダバイト採掘場で幸運のお守りとしてモルダバイトを掘ってくる話だったのですが、テレビの影響って凄いですね~。モルダバイトの写真がある記事が検索で引っかかり、多数のアクセスがあったようです。

まあ、私のブログでは石の販売はしてないので、どれほど訳にたったかは不明ですけど・・・。

折角ですので、モルダバイトについての考察を紹介してみようと思います(モルダバイトの本物と偽物の判別をする自信が無いので、未だ購入してないため、写真はありません^^;ご容赦下さい)。

衝突.jpg
モルダバイトをはじめ、テクタイトは、隕石が衝突した際のエネルギーで地表の岩石が融解・飛散した物が、冷えてガラス質状に固まったと考えられています。モルダバイトの場合は、比較的生成の由来が研究されていて定説がありますので、少しご紹介致します。

地図に×をつけた所は、ヨーロッパの中央部 ドイツ南部にあるリース盆地です。その形状は、直径約25kmの外輪地形と、直径約10km の内輪地形からなります。ここは隕石の衝突で形成された事が、現在では定説になっています。因みにクレーターの中に作られた都市がネルトリンゲンというのは有名な話ですね。このクレーターから、モルダバイトが採れるチェコまでは数百kmも離れていますが、モルダバイトもこのリース盆地が出来た時の隕石衝突で出来たと考えられています。この衝突は、放射年代測定から、1400万年~1500万年前の出来事だという事が分かっていて、地質年代としては、中新世でちょうどヒマラヤ山脈やロッキー山脈が隆起しはじめた頃の事です。つまり、モルダバイトを年代分析してこの年代以外だと、少なくともモルダバイトではなく、他の地域のテクタイトか全くの偽物という事が分かるという事です。

さて、様々な研究から、隕石は、図に示した様に北西から落下してきたと考えられ、その時巻き上げた噴出物が東側(チェコは衝突地点のまさに東に位置します)に広範囲に落下したと考えられています。隕石衝突時の高温高圧で溶けた(衝突時の温度は2000℃以上、その時の圧力はエネルギーは60~100GPaというから想像を絶しますね)ガラス質が、飛行中に固結して落下してきた物がモルダバイトという訳です。とは言え、これらの説が定説として固まったのは1970年代に入ってから。比較的最近のことなんですよ。

※参考文献:
地質ニュース473号,35-42頁,1994年1月
マテリアル インテグレーション Vol.18 No.2,P52-58,2005年
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アヨアン・イゴカー

>放射年代測定
これは何を使った測定なのでしょう?ウランなどでしょうか?
by アヨアン・イゴカー (2009-02-10 09:59) 

optimist

アヨアン・イゴカー さん、こんばんは。
このモルダバイトの年代測定は、カリウム - アルゴン法と呼ばれる手法で求めています。モルダバイト中に含まれる放射性核種のカリウム40とアルゴンの比率から年代を測定する方法です。
でも、年代測定については、よく耳にするわりに原理を知らないですよね^^;折角ですから次回、まとめて詳しくお話をしてみようと思います。堅苦しい話になるかもしれませんが、興味があればご覧下さい。
by optimist (2009-02-10 22:22) 

アヨアン・イゴカー

年代測定については、考古学でC14が有名ですが、それ以外については数種類あったような気がしますが思い出せません。
堅苦しくとも、歓迎です。
by アヨアン・イゴカー (2009-02-11 15:01) 

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