八面体の蛍石(フローライト) [鉱物図鑑:蛍石]
劈開させて作った八面体結晶です。中国産で、一辺が25mmあります。
蛍石は私が一番好きな石です。
様々な結晶の形があり、その色もバリエーション豊富。その上、蛍光する結晶も多いという実に面白い石です。でもそれだけじゃありません。他にも色々と面白い利用方法があるんです。
さて、あまり知られていないですが、蛍石を濃硫酸で溶かすとフッ化水素酸(フッ酸)を得る事が出来ます。このフッ酸は、ガラスを腐食する不思議な液体です。フッ酸は、17世紀には、既にガラス工芸家たちに知られていたそうです。これを使って、エッチング技法にで文字や絵模様をつけたりと、様々な加工に利用していたんだとか。その製法は、秘中の秘だったそうです。
ところで、フッ酸は、なぜガラスを侵すのでしょう?それは、ガラスの主成分である珪酸(SiO2)と反応してヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6・nH2O)を作るからです。この反応は、フッ化物イオンの持つ高い求核性によるものです。実際、フッ素はきわめて反応性が強いので、簡単に有機物と反応します。周期表の暴れん坊なんて呼ばれる事も・・・。でも一度結合してしまえば、それ以上に求核性の高い物質はそうはないので、非常に安定な物質になります。この安定な物質を作る特性を使った材料が、テフロンです。耐薬品性の強い材料として重宝されていますね。
こんばんは。
サラリーマン時代の同僚が、半導体の研究部署にいたのですが
その同僚が「もし手についたら溶けるんだぞ〜!」と
恐れていた薬品の名前が「フッ酸」だった記憶があります(^^;
by Bacchus (2009-04-25 01:07)
Bacchus さん、こんにちは。
実際、フッ酸は反応性が強く、危険性は硫酸とか塩酸の比では無いですからね~。
半導体のエッチングとかに使うようですね。
by optimist (2009-04-27 07:10)
>フッ酸は、ガラスを腐食する不思議な液体です。フッ酸は、17世紀には、既にガラス工芸家たちに知られていたそうです。これを使って、エッチング技法にで文字や絵模様をつけたり・・・
ガラスを溶かすのですか?容器には何を使うのでしょう?
>一度結合してしまえば、それ以上に求核性の高い物質はそうはないので、非常に安定な物質
なんだか更生した不良少年のようで、人間的な感じがしますね!
by アヨアン・イゴカー (2009-05-04 04:02)
アヨアン・イゴカー さん、こんばんは。
容器には何を使うのでしょう?>
現在では、ポリ容器ですね。ああ、最も分かり易いのはテフロン容器。既にフッ素によって水素が置換されているので、フッ酸にも侵されません。
更生した不良少年ですか・・・。そんな風に考えたりした事は無かったのですが、面白い発想ですね♪
by optimist (2009-05-04 22:06)